ファイナンスの勉強

0. はじめに
 最近、金融の高度化などもあって、ファイナンスという学問に対する需要が高まってきているようにも思います。
本稿では、学部においてファイナンスを勉強するにあたって、どのように勉強を進めていけばよいのかについて、私の経験も含めて私なりに考察してみようと思います。

 

1. 2種類のファイナンス
 ファイナンスは、実は大きく2種類に大別できると思います。
コーポレートファイナンス
インベストメント
の2つです。これらについて、ざっくりと概要を書いてみようと思います。

コーポレートファイナンス
 コーポレートファイナンスは、原則として企業側の視点に立った学問です。私はこっちにはあまり詳しくないです。
 主に扱うテーマとして、
・企業の資金調達
などが挙げられます。

○インベストメント
インベストメントは、原則として投資家側の視点に立った学問です。金融工学とかもこっちに入ってきたりします。数理ファイナンスというとちょっと別枠かなと思いますので、一旦はインベストメントといえば金融工学は含むが、数理ファイナンスは含まないことにします。
主に扱うテーマとして、
ポートフォリオ最適化
デリバティブプライシング
などが挙げられます。

コーポレートファイナンスとインベストメントの境目を判断しにくいテーマもありますが、概ねそれぞれにはこのような特徴があります。

 

2. 必要な知識・技術
 コーポレートファイナンスとインベストメントでは、必要とされる知識や技術が異なります。ざっくりとですが纏めてみたいと思います。どちらを勉強するにしろ、まずは下記の基礎知識と技術の習得を目指すことになります。

コーポレートファイナンス
財務会計
・四則演算の計算技術

〇インベストメント
・ミクロ/マクロ経済学の基礎
・計量技術(微分積分、確率論等)

 

3. 必要な知識・技術の習得
 2で紹介した必要な知識・技術の習得のために使った参考書など、主観的におすすめのものを挙げます。ちゃんとやるならもっと必要かと思いますが、ざっとこの程度でも大丈夫だと思います。

財務会計
財務会計講義(桜井久勝)

証券アナリストのための企業分析(日本証券アナリスト協会)

 

<四則演算の計算技術>

Excelの関数の勉強→ネットでその都度調べる

 

ミクロ経済学

ミクロ経済学の力(神取道宏)

ミクロ経済学の技(神取道宏)

 

マクロ経済学

マンキュー経済学マクロ編(グレゴリー・マンキュー)

 

<計量技術>

実証分析のための計量経済学(山本勲)

経済と金融工学の基礎数学(木島正明)

Pythonによるデータ解析入門

Pythonによる統計分析入門

 

4. コーポレートファイナンスとインベストメント入門

 私自身、学部時代はインベストメントを中心に勉強してきたこともあり、コーポレートファイナンスについては疎いのですが、良著だと思ったものをできるだけ挙げてみます。ウォール街のランダム・ウォーカーは教科書的なものでは無いのですが、如何せんこの手の分野を勉強していることを周りに知られると、全くファイナンスに触れたことのない人から資産形成の観点からいろいろ質問されるので、こういうさらっと読める本みたいなのも知っておくといいかもしれません。

コーポレートファイナンス

コーポレートファイナンス(上)(リチャード・ブリーリー)

コーポレートファイナンス(下)(リチャード・ブリーリー)

 

<インベストメント>

新・証券投資理論I(日本証券アナリスト協会)

新・証券投資理論II(日本証券アナリスト協会)

バリュエーション(上)(マッキンゼー・アンド・カンパニー)

バリュエーション(下)(マッキンゼー・アンド・カンパニー)

ウォール街のランダム・ウォーカー(バートン・マルキール)

 

5. まとめ

 結局、4で挙げた教科書を習得するというのが最初の目標になります。一応、これらの教科書はバックグラウンドなしに読めるよう構成されているのですが、より理解を深めるためには順は追った方がいいかなーと思います。大学生ならせっかく時間があるので。